実はこのねこは、その昔、一井の前身である人力車「こもろ轟屋」で、パンフレットの“重し”として作ったものでしたが、ある日懐古園を訪れたひとりの女性から、「これいくらですか？」と声をかけられました。

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「すみません、これは置き物なので販売はしておりません」と丁重にお断りしたのですが、その方は、「どうしてもこれが欲しい」と言ってききません。

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しばらくの押し問答の末、ついに根負けした私は「わかりました。そこまでおっしゃるのならお売りしましょう。しかし、さすがにこれは置き物で、ずいぶん劣化しているし、なによりこれが無くなってしまっては押さえるものが無くて困るので、あらためて作らせていただきます。それでもよろしいですか？」と訊きました。

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すると女性もそれでいいというので、交渉成立、早速製作の上、特別に販売することとなりました。

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ところで、どうしてそこまでしてこれが欲しいのかと尋ねると、女性は「“ある人”にプレゼントしたいから」だ、と答えました。

 

その“ある人”こそが、なんとあのフィギュアスケーター、浅田真央選手だったのです。

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女性は浅田選手の大ファンで、毎年毎年、折につけ手紙やプレゼントを贈り、ときには選手本人からも御礼の手紙が届くほどだとか…。しかし当時はちょうど浅田選手がスランプに苦しみ、なかなか思うような成績を挙げられなかったことから、なんとかそれを打開して、また真央ちゃんの笑顔が見たい！！そう思っていたのだそうです。

 

そんな矢先に女性は、このねこと出逢ったのでした。